2020年1月12日日曜日

本のお話316 対岸の彼女

角田光代第2弾 対岸の彼女

作者作品は本のお話285の空中庭園に次ぐ
2作目ですが、前作同様これもシリアスで
シニカルな雰囲気の漂うお話でした。

雰囲気だけでなく、章毎に変わる目線が
徐々に交錯し、其々のつながりが明らかに
なっていくミステリー仕立ての構成が、
湊かなえ作品を思い出させました。

中学高校の学級という狭~い世界におけるグループ編成
とマウンティング、スクールカースト、陰湿ないじめ、
それらに影響を及ぼす生徒の家庭環境などを背景に、
2人の少女の友情を描いたストーリー
&
公園デビューにママ友作り、そして子供の社会性に思い
悩む主婦が打開策として選んだパート勤務。
その仕事と人間関係を中心に夫婦間の問題や嫁姑の確執
にまで切り込んだストーリー。

上記2人の主人公がどの様に繋がっていくのかが見ものです。
それにしても、主婦はともあれ、思春期の女生徒らの心情を、
どうしてここまで微に入り細に渡って描けるのか・・・
作者の豊かな想像力と感性に感心します。
これもかなりドロドロ系で、怖い!!

以前テレビで、ある有名タレントが「この世で一番恐ろしいと
思うものは何だ?」との問いかけに対して答えた「それは人間。
けれども一番温かいのも、また人間である」との言葉が、ふと
思い出されました。