これは、11編から成る短編集です。
8~9ページのお話が殆どの中、最後のお話だけ
が圧倒的に長く、53ページにも及びます。
それはドラマになった佐方貞人シリーズの
スピンオフで、検事である佐方氏の補佐官を
務める事務官の男性が主人公の物語でした。
対して「チョウセンアサガオの咲く夏」は、
僅か8ページの超短編ですが、あっと驚く
どんでん返しが強烈で、表題に選ばれるのも
頷けます。
上辺からは到底窺い知ることのできない人の心に巣くう闇。
人は、なんと複雑で恐ろしい生き物だろう。
「人間は単純なのが一番」と登場人物の複雑過ぎる心境に
触れる度に思ったり。
2編に跨がったお話やスピリチュアルやファンタジー要素のあるもの、
ありふれた日常の先にぎょっとする展開が待ち受けていたり、
ジーンと胸に染み渡るものまで、びっくりしたり、愕然としたり、
感動したり、笑えたりと、エンターテインメント性溢れる一冊でした。
どの短編にも読者を驚かせる仕掛けが仕込まれていますが、
どんでん返しは作者の定番にも関わらず、まんまと騙されてしまう
巧妙さに脱帽です。