文・堺雅人
54章のテーマタイトルの全てが、漢字一文字
に統一されているところが、おしゃれです。
2005年~2009年に渡って雑誌に掲載された
堺雅人さんのエッセイ集で、間に出演作の
原作者である著名なお二人の作家との対談や、
幾つものスナップショットが織り込まれて
います。
11~15年前、31歳~35歳の頃に書かれたもの
で、巻末の活動年譜から、その時点で既に多くの
大ヒット映画やドラマで主演する売れっ子だった
ことが分かりますが、その後の更なる快進撃
は、いわずもがなでありまして・・・
へ~~なるほどなあ・・・と驚かされる絶妙な表現が
あちらこちらに見られ、その文章力と感受性に恐れ入ります。
無類の読書家で、出演する作品に関わるあらゆるバック
グラウンドをとことん研究し、撮影に先立って舞台となる
場所で実際に暮らしてみる等、それはそれは探求心旺盛
な人の様です。
才能もさることながら、演じる役柄にとことん向き合う
真摯な姿勢と誠実さも、きっとブレイクの一因になって
いるはず。
生い立ちや家族の事、出会い、趣味、体質、性格など、内容は
多岐に渡りますが、どの章も結局は役を演じることに帰結します。
記憶に残る数々の映画やドラマに纏わるエピソードは興味深く、
人として見習いたい部分も多々あり、俳優堺雅人のファンのみ
ならず、万人にお勧めの一冊と言えそう。