2019年1月21日月曜日

本のお話290 雪の鉄樹

遠田潤子 雪の鉄樹

これは、良かった!!
最後の一文を読み終えた瞬間、感動の波が
押し寄せてきて、ジーンと目頭が熱くなり
ました。

ただただ苦しく切ない物語でしたが、その先
には、明るい光に満ちた世界が広がっていました。
主人公の苦労が最後にちゃんと報われるハッピー
エンドのドロドロ系小説は、いかにも私好みです。

なぜ?どうして?ここで何があったの?どんな関係?
何を償っている?何を恨んでいる?どういう意味?と、全てが???
のままストーリーが展開し、後半から徐々に謎が解き明かされていきます。

薄情どころか、元々人の心を持たない祖父と、祖父の犠牲になって
潰された父親だけが家族の、近所から「たらしの家」と呼ばれる
特殊な環境で育った主人公。

幼い頃から誰一人として自分に関心を持ってくれない孤独の中で
成長した彼は、なぜそれほどまでに優しく、強く、誠実で、責任感の
強い大人になれたのだろう。

遠田小説は初めてでしたが、予想を遥かに超える名作でした。
うちにある本を読んだら、次は、作者作品を制覇したい。
買い置きしてある本を、早く読んでしまわなくては!