2024年2月20日火曜日

本のお話372 太陽の座る場所

辻村深月第6弾 太陽の座る場所

高校の同級生5人の視点で語られる5つ
の物語は、今をときめく売れっ子女優
となったキョウコを中心に過去と現在
を行きつ戻りつ展開するミステリー
でした。

クラス会に10年間一度も参加して
いないキョウコを次回は何としてでも
引っ張り出そうと画策するクラスメイト
達が何故次々と連絡を絶っていったのか?
それぞれの事情や思惑、そして、キョウコの正体とは??

上手く読者を騙し続けた末に、あっと驚く結末が待っていました。
全てを知った上で読み直せば、見落としている多くの事に気付けたり、
色んな部分がしっくりくるはずなのに、個人的にあまり好きなお話では
なかったので、次作品にとっとと移ってしまいました。

視点が変われば、同じ物事が全く違うものになる恐ろしさ&
人の心の奥底に潜む悪意。打算、本音と建前、マウント、ライバル意識や
猜疑心、見栄と虚飾・・・そこにどれだけの値打ちがあるのか疑問に
感じながらも、微妙な年頃の者達が属する世界で生きるしんどさを
生々しく体感できた作品です。