2016年2月24日水曜日

本のお話237 或る小倉日記伝

松本清張第20弾 或る小倉日記伝

ミステリー風のタイトルですが、これは

ミステリーではなく、実在する人物を
描いた短編集となっています。
中でも表題の「或る小倉日記伝」は、
芥川賞受賞作だけあって、名作でした。

明晰な頭脳を持ちながら、不自由な体に

生まれた主人公の青年が、貧しい暮らし中で、
母親に支えられながら、当時空白だった森鴎外
の小倉在住時代を探るために奔走します。

鴎外の小倉時代の生活を明らかにし、記録に残す事を
生きるよすがに、不自由な体を引きずって、関係者を
訪ね歩く青年の真摯な姿と母親の深い愛情が、胸に迫り来る作品でした。
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これで一先ず松本清張シリーズはお終いですが、
まだまだ名作がたくさんあるので、機会が有れば、
また読みたいな。
これまでの清張作品を私的に分類すると・・・

面白い・・・黒皮の手帳、迷走地図、わるいやつら、夜光の階段、
感慨深い・・砂の器、ゼロの焦点、或る小倉日記伝、水の炎、
      球形の荒野
驚きの大作・・日本の黒い霧(苦手だけど)、火の路、
       
普通・・・・張り込み、歪んだ複写、彩り河、Dの複合、
いまいち・・隠花平原、状況曲線、眼の壁、点と線、けものみち、って感じかな。