湊かなえ 「花の鎖」
これもまた作者の才能に感心させられる一作
でした。「贖罪」の様な違和感も無く。
彼女の作品は、章毎に主役が変わり、数人の
主要な人物の独白によって物語が進行します。
これも御多分に漏れずで、最後に全容が明らか
となるのですが、後半早々に、輪郭がおぼろげ
ながら見えてきます。
今までの作品と決定的に違うのは、時間軸上に
物語が成り立っていること。
ここからちょっとネタバレですが・・・・
祖母、母、娘の直系3代に渡るお話で、「この人は、この章
ではこの人だったんだ」と、それまで別人と思っていた人物が、
後で次々と結びついていきます。
それらを踏まえて読み直せば、新たな気づきがありそうです。
巻末解説の言葉にもあるように、作品独特の凄みやドロドロ感は、
(テレビで見かける)湊かなえさんのおっとり、のほほんとした
雰囲気とかけ離れていて、何とも不思議な気分・・・