梁石日第6弾 子宮の中の子守歌
この一連のノンフィクションは、母親が
モデルと思われる「雷鳴」に始まり、凶暴
な父親を描いた「血と骨」を経て、自身が
主人公の「修羅を生きる」→「子宮の中の
子守歌」→「タクシードライバーシリーズ」
→「睡魔」へと繋がっていきます。
この物語は、作者が、事業の失敗によって
抱えた莫大な借金から逃れ、妻の姉夫婦を
頼って、単身で移り住んだ仙台での生活が
中心となっています。
壮絶な生い立ちを、しばしば振り返りつつ、物語が進行する
ので、これまでの作品と重なる部分が、多々ありました。
何事も投げ出すことなく辛抱強く取り組んだ少年時代と打って
変わって、成人してからの作者は、酒と女性とお金の全てにおいて
並外れてだらしなく、同じ過ちを何度も重ねて、転落を繰り返します。
頭では分かっていても、そんな風にしか、生きられないのだとか。
抜群に賢く、何でもそつなくこなす能力を備えているのに、
もったいない限りですが、芸術家は、えてして、そんなもの
かもしれないね。仲間も怪しげな人ばかり・・・
それにしても、なんと凄まじい人生か・・・