梁石日第7弾 断層海流
初めて、作者の自伝以外の作品を読みました。
これはフィクションですが、明らかに自身の
思いや立場が登場人物に投影されており、
一貫したテーマから、作者の苦悩や、抱えて
いるものの複雑さが伺えます。
騙されて東京に連れてこられた美しいフィリ
ピン人ダンサーと、同じくバブル経済真っ只
中の東京で、バブルの恩恵に預かる不動産会社の社長。
独立した複数のストーリーが、やがて一つに繋がっていくのは、
湊かなえ作品等で、時々目にするパターンですが、この物語で
交互に描かれる2つのストーリーの交錯点の意外性が、斬新で
素晴らしかった!
よく出来たお話で、最後まで引き込まれました。
企業と政治家や税務署の癒着や利権が絡んだ松本清張張りの
社会派小説と言えなくもない読み応えのある作品です。
マリアのその後が気になるところです。