村山由佳第11弾 遥かなる水の音
作者の作品は、放蕩記以来一年半ぶりです。
「翼」のグランドキャニオン、「野生の風」
のアフリカサバンナに続き、今回このお話
の舞台に選ばれたのは、サハラ砂漠でした。
「草原の椅子」の一場面が蘇ります。
村山作品の中でも、異国の大自然を背景に
したこれらの長編は、際立っています。
これも紀行文的な要素を持ち、旅行好きな
読者には、風景描写もまた、大きな魅力である事間違いなし!
これは、一人の若者「周」の遺骨を散骨するために、生前彼と
関わりの深かった4人がそれぞれの思いを胸に、周がかつて旅した
ルートを辿ってサハラ砂漠を目指す物語です。
周の姉とふたりの友人と恋人、更には現地の運転手兼ガイドの
イスラム教徒の男性と、灰となった周自身の計6人の視点が
章毎に入れ替わりながら、物語が進行します。
湊かなえ作品によく見られる手法だね。
各々の土地独自の風景と旅情、ムスリムの文化、性的マイノリティ
やスピリチュアルの世界などテーマが盛り沢山で、感慨深い作品でした。
ところで、毎年夏に発売と決まってた「おいコー」は、一体
どうなったのかしら??
「地図のない旅」を最後に、何年も止まったままで。
続きが気になってしょうがない時期は、とうに過ぎてしまったけれど・・・