2021年3月18日木曜日

本のお話340 おいしいコーヒーのいれ方Ⅸ ありふれた祈り

 村山由佳第12弾 おいコーSecond SeasonⅨ ありふれた祈り

作者作品は久しぶりで、過去の投稿を辿れば、
「遥かなる水の音」以来、3年振りでした。
更にこの作品に関しては、2014年7月に前巻
Ⅷの「地図のない旅」を載せてから7年近く
経っています。そして!
連載開始から四半世紀、やっと完結しました。

作者曰く、前巻から7年も空いてしまった
のは、ラストシーンはとうに決めていたにも
関わらず、登場人物たちとの付き合いが長く
なればなるほど、彼らは勝手な意思を持って
動き始め、こちらの思い通りに行動してくれ
なくなるもので、それにどう折り合いをつけ
ラストに繋げるかが難しくて書けなかったのだ、とのこと。

ただの大恋愛物語が突如深刻な局面を迎え、中途半端な
状態で長年放り置かれましたが、最終巻は本当に良かった!
としみじみ思える満足のラストでした。

「誰もが当たり前に思っている今日と同じ明日があること、
実はそれこそが奇跡で、とても尊く幸せなことなのだ」の
1文が胸に浸み渡ります。

そして人は間違いを犯すものだけど、大切なのはその後の
生き方で、人はどん底からでも這い上がり再生できるのだ
と主人公が教えてくれました。

少女漫画的ラブストーリーの範疇に収まらない深いテーマと
味わい、本の断捨離でこの物語の19冊殆どを手放して
しまったのが悔やまれます。

それから、村山作品にはどれも旅情があり、旅好きな私には
(なかなか行けないけど)、それも大きな魅力でした。

ありがとう、村山由佳さん!
いつか、その後の勝利とかれんに出会えることを期待しつつ、
25年お疲れさまでした。