2021年3月30日火曜日

本のお話341 深夜特急~香港、マカオ篇

 沢木耕太郎 深夜特急1 香港、マカオ篇

この本を友達に教えてもらってメルカリで
買った後、何年も放置していましたが、
先日やっと読みました。

恥ずかしながら、無知な私は著者のことを
よく知らず、バックパッカーが放浪の旅の
経験を綴った紀行文が売れたのだとばかり
思ってました。
それにしては文章がとても洗練されているし、
行き当たりばったりのギャンブラー体質ながら、
エピソードのそこかしこに知性が溢れているなあと。

それもそのはず、彼はルポライターとして出発し、
これが発行された頃には既に数々の文学賞を受賞して
いた有名なノンフィクション作家だったのです。

この中で特に興味を引かれたのは、マカオのカジノでの
体験談で、ごく普通の人がどの様にしてギャンブルの
魔力に憑りつかれ、依存症に陥っていくのかがよく
分かる微細な心理描写でした。

舞台となったマカオのカジノは昔連れて行ってもらった場所で、
オシャレな大人たちが大きなテーブルを囲んでルーレットに
興じていた映画のワンシーンの様な場面が蘇ります。

私はと言うと、友人らとスロットマシーンをちょっとやっただけ。
現地ガイドさんに「せっかく行ったのに、どうしてルーレットを
やらずにそんなことをしてたのか」と流暢な日本語で呆れられました。
ほんと、そうだね。33年も昔の話・・・