2016年11月19日土曜日

本のお話255 まほろ駅前多田便利軒

三浦しをん まほろ駅前多田便利軒

「舟を編む」は傑作でしたが、これも直木賞
受賞だけあって、とっても面白かった。
この2作だけで、作者のファンになったかも。

まほろ駅前で便利屋を営む一人の男性が、
偶然再会した高校時代の曰く付きクラス
メイトに、事務所兼住居に転がり込まれ、
そのまま居つかれることに・・・・

2人が便利屋の仕事を通して関わった奇妙な人達との悶着や、
次第に明らかにされていく2人の過去、そして、それぞれの
抱える苦悩が、深刻かつユーモラスに描かれています。
そして、物語の素地となるのは、何と言っても、独自の土地柄。

ラストは、物語を締めくくるに相応しい言葉でした。

「失ったものが完全に戻ってくることはなく、得たと思った瞬間には、
記憶になってしまうとしても、幸福は再生する、形を変えて様々な姿で、
それを求める人達のところへ何度でも、そっと訪れてくるのだ」

しみじみ・・・・良い言葉ですね。