三浦しをん まほろ駅前多田便利軒
「舟を編む」は傑作でしたが、これも直木賞
受賞作だけあって、とっても面白かった。
この2作だけで、作者のファンになったかも。
まほろ駅前で便利屋を営む一人の男性が、
偶然再会した高校時代の曰く付きクラス
メイトに、事務所兼住居に転がり込まれ、
そのまま居つかれることに・・・・
2人が便利屋の仕事を通して関わった奇妙な人達との悶着や、
次第に明らかにされていく2人の過去、そして、それぞれの
抱える苦悩が、深刻かつユーモラスに描かれています。
そして、物語の素地となるのは、何と言っても、独自の土地柄。
ラストは、物語を締めくくるに相応しい言葉でした。
「失ったものが完全に戻ってくることはなく、得たと思った瞬間には、
記憶になってしまうとしても、幸福は再生する、形を変えて様々な姿で、
それを求める人達のところへ何度でも、そっと訪れてくるのだ」
しみじみ・・・・良い言葉ですね。