辻仁成 右岸
作者の作品を読むのは、これで7作目となり
ますが、これまでとは違った雰囲気です。
絶妙な喩えと文学的な表現を得意とする作者
にしては珍しく素朴な言葉で綴られている
ところも、奇怪なストーリーも。
超能力を持つ一人の男性の数奇な運命を描いた
スピリチュアルな物語で、将来の一場面を予知したり、
スプーンを曲げたり、物を移動させたり、空間移動も、
背後霊や守護霊、輪廻転生、憑依、何でも有りです。
作者は、前世からの因縁や死後の世界、超常現象の類を信じる
タイプの人かと思われますが、そうでない人でも面白く読めて、
そこそこ感動的なお話に仕上がってます。
そして、胸に沁み渡るラストの一文は、目から鱗もので、
人生観が変わる気がしました。残念ながら、一瞬だけど。
ずっと覚えていられたらなあと思うのですが。
これも「冷静と情熱のあいだ」同様、江國香織さんとの共著で、
彼女作の「左岸」とセット作品となっているようです。
前にまとめ買いした残りの本を読んでから注文しよう!