2019年10月16日水曜日

本のお話310 あやつられ文楽鑑賞

三浦しをん第10弾 あやつられ文楽鑑賞

これと前回の「仏果を得ず」をセットで読むと、
文楽についての理解が一層深まります。

それでも、私の文楽に対するとっつきにくい
イメージに変わりはなく、有名な演目の説明が、
こんなにも分かりやすく、かつ面白く書かれて
いるにも関わらず、時間が経つと、あんまり
記憶に残ってない気がする・・・

「仏果を得ず」は、文楽をテーマにした小説ですが、
これは、文楽にまつわるエッセイで、作者が鑑賞した演目
のあらすじと解説、感想を中心に、文楽を構成する義太夫
と人形遣いと三味線について、そして、訪れた新旧大小の
劇場の特徴や風情、更には作者のご先祖と文楽の関わりに
まで話が及びます。

落語や歌舞伎に言及しているのも、全て文楽のためであり、
いかに作者が文楽のファンで、どれほど強い文楽愛を持っている
のかが、ひしひしと伝わってきました。
もしかして文楽云々より、それが真っ先にくる感想かも。

なんでも、ホストクラブのホストに入れ込む女子さながらに、
文楽の虜となった者は、劇場通いが止められなくなるのだとか。
一旦その魅力を知ってしまったが最後、歯止めが利かなくなる
そうで・・・

文楽は、見る度に新たな発見のある奥深く、たいそう魅力のある
趣味だと分かりましたが、お金がかかるのもさることながら、
そんな高尚な古典芸能を受容できる知性と好奇心、そして多少の
忍耐力が無いと、その魔力にとり付かれることはないのかもしれない・・・