三浦しをん 第9弾 仏果を得ず
それまでちゃらんぽらんに生きてきた青年
健が、高校の修学旅行で観劇した文楽に
魅了され、その道を志すことになります。
憧れの師匠に弟子入りすることが叶い、
一人前の義太夫になるべく修行に精進する
彼の成長を描いた物語です。
義太夫への道を追求して、悩み、もがき
苦しみながらも、周りの人たちの支えや
自身の努力で、幾つもの壁を乗り越えて一人前になっていく
健の姿は、「神去なあなあ」の勇気君に重なります。
人って、好きなものには、ここまで一生懸命になれるんだね。
特殊な世界の文化や慣習を交えながら描き出される人間模様は、
両作品共に面白く、未知の世界を覗き見ることができます。
更に、有名な文楽の演目にリンクしてストーリーが展開する手法は
目新しく、文楽に興味の無い人でもそこそこ楽しめます。
私がもう少し文楽に造詣が深ければ、もっと引き込まれたはずだけど。