2019年10月31日木曜日

本のお話311 木漏れ日に泳ぐ魚

恩田陸 木漏れ日に泳ぐ魚

これは、初版が2010年なので、決して
新しくはないけれど、増刷を何度も重ねた
人気の作品です。

作者と言えば、現在公開中の映画「蜜蜂と
遠雷」が有名ですが、興味を持ちつつも、
先に原作が読みたくて、今映画を見るのは
控えているところです。
映画の影響からか、同作者のこの作品も
書店の「話題の面白い小説コーナー」に
並べられていました。

私はそこまで引き込まれなかったけれど、淡々とした飾らない
語り口が万人受けしそうな、よくできたミステリーです。

主人公の男女が最後の夜を徹して語り合う中で、過去の記憶が
手繰り寄せられ、父親の転落死の謎や自身のルーツが徐々に
明らかになっていくお話で、2人の、特に彼女の推理は、鋭く
核心をついていると思われます。

ここからちょっとネタバレですが・・・・
2人の会話と呼び起こされた記憶+ちょこっとネットで調べた
新聞記事だけで全てが解明されるなんて、ミステリーとして極めて
珍しいパターンではないでしょうか?その特異性に感心しました。

これを読んで、湊かなえさんの「豆の上で眠る」を思い出したのは、
きっと私だけではないはず・・・