2020年10月13日火曜日

本のお話332 希望荘

 宮部みゆき第20弾 希望荘

やっと見つけた。
冒頭に作者第○弾と書くためだけに過去
の投稿を遡ること2年7ヵ月。
作者作品は、2018年3月の「英雄の書」
以来でした。

これは「誰かsomeday」「名もなき毒」
「ペテロの葬列」に次ぐ杉村三郎シリー
ズ4作目にあたります。

前3作が長篇に対し、これだけが短編連作となっています。
表題を含む4編どれも面白かったけど、あえてランキング
するなら、砂男、二重身、希望荘、聖域の順でしょうか。

これまでは事件に巻き込まれ、成り行き上探偵の真似事を
やる羽目になる杉村三郎でしたが、本作で事務所を構え、
本格的に探偵業に乗り出します。
興味津々のその経緯が明かされる点も、砂男を1番に挙げる
理由ですが、これはあまりに切なく悲しい物語でした。
辛過ぎる・・・

これに限らず推理小説に登場する探偵は概してスパイさながら
あらゆる能力を兼ね備えています。そうでなければ務まらないね。
嘘はったりをかますのが得意でありつつ、誠実で思いやりがある
ことも大切なんだ。
杉村三郎は探偵としてもちろん優秀ですが、何より良心的な
ところがいい!

この本、よく見るとあちこちに汚れやヨレがある上、新刊でも
ないのに、古本屋で定価に近い金額で売られてました。
きっと人気の作品なんだ。それも、まあ納得かな。