村上春樹第3弾 ダンス・ダンス・ダンス
主人公を取り巻く人間模様が
リアルかつ繊細に描かれた
珍しいタイプのファンタジーであり、
殺人事件を扱ったミステリーでもあります。
ファンタジックな場面はごくたまにしか現れないにも関わらず、
それは、それは、圧倒的な存在感を放っていました。
本が閉じられなくなる類の面白さは無くても、
ずっと読んでいたい淡々とした面白さに満ちていました。
ここでも作者は最初から最後まで、何でもかんでも例えて
しまいますが、作者の特徴とも言えるその絶妙な例えは
物語において意外と重要な役割を果たしているかもしれません。
この機会に本のお話296の「海辺のカフカ」を読み返してみたら、
感想がこの作品にピッタリ当てはまるではありませんか。
1Q84を含めたこれら3作からは、同じ匂いがぷんぷん漂ってくるもんね。
未来を暗示する場所と不可思議な経験の数々・・・
夢と現実が入り混じったかの様なミラクルな世界を登場人物達と
暫し旅してきた気分です。