2022年10月7日金曜日

本のお話352 ダンス・ダンス・ダンス

村上春樹第3弾 ダンス・ダンス・ダンス

これには前編があるそうですが、
これだけでも一つの作品として
ちゃんと成り立っています。でも、
前話の続きと言われれば確かに、
そう思わせる節がある。
早く前編をゲットしなくては。

主人公を取り巻く人間模様が
リアルかつ繊細に描かれた
珍しいタイプのファンタジーであり、
殺人事件を扱ったミステリーでもあります。

ファンタジックな場面はごくたまにしか現れないにも関わらず、
それは、それは、圧倒的な存在感を放っていました。

本が閉じられなくなる類の面白さは無くても、
ずっと読んでいたい淡々とした面白さに満ちていました。

ここでも作者は最初から最後まで、何でもかんでも例えて
しまいますが、作者の特徴とも言えるその絶妙な例えは
物語において意外と重要な役割を果たしているかもしれません。

この機会に本のお話296の「海辺のカフカ」を読み返してみたら、
感想がこの作品にピッタリ当てはまるではありませんか。
1Q84を含めたこれら3作からは、同じ匂いがぷんぷん漂ってくるもんね。

未来を暗示する場所と不可思議な経験の数々・・・
夢と現実が入り混じったかの様なミラクルな世界を登場人物達と
暫し旅してきた気分です。