2023年10月6日金曜日

本のお話365 下流の宴

林真理子第6弾 下流の宴

電車に乗る時間が待ち遠しくて仕方
ないくらい引き込まれました。

社会的地位や世間体を何より重んじる
母親とそんな母親の思い通りにならない
息子。

そういったものにまるで無頓着で人情味
あふれる環境で育った娘。
そんな二人が出会って恋に落ち、結婚の約束をするのですが・・・

打算と計算ずくより、真摯に努力する者が報われる痛快の結末でした。

恋人の母親から家族を侮辱された珠緒の復讐は、彼の母親に自分との
結婚を認めさせ、一泡吹かせること。これこそが、復讐のあるべき姿だ!!

怒りをエネルギーに変えて猛勉強する間に、目的が復讐から立派な
志へと変わっていく珠緒の心境が興味深く描かれています。
珠緒の生き様は、見習いたいほど格好良い!

彼女のポテンシャルと勝気な性格、そして暖かく魅力的な人柄が
引き寄せる幾つもの運命的な出会いが有ってこその奇跡でした。

条件偏重主義者ほど今そこにある幸せに気付けず、大切なものを
取り違えることで、結果として、思い描く理想から遠ざかってしまう
のは皮肉なもんだね。