松本清張第15弾 Dの複合
日本に古くから伝わる浦島太郎伝説や天女
の羽衣伝説と言ったお伽話ゆかりの地や
神社などを訪ね歩く紀行文的な要素を持つ
ミステリーです。
追跡者が地図を見て、閃光が走る様にヒント
を得る場面は、作者の幾つかの作品に見られ
る特徴の一つと言えそうですが、全体的には
「隠花平原」に似てる気がします。
民族説話に関する学術的な記述が多いので、
最初はなかなか入り込めなかったけれど、主人公の小説家
が編集者の男に導かれ、北緯35度、東経135度の線上
に分布する伝説由来の地を訪ね歩く先々で起こる事件の
不可思議に、急激に引き付けられていきました。
バタバタと慌ただしく完結した感がありますが、これもまた
作者の幅広い分野の博識に、恐れ入る作品です。
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