2017年1月19日木曜日

本のお話258 雷鳴

梁石日第3弾 雷鳴

これは、著者の母がモデルの作品ではない

でしょうか。
「血と骨」の何年も前の物語で、春玉入り
して以来、苦労を重ねた末に、嫁ぎ先から逃げ
出して、日本に渡るまでの、韓国済州島を
舞台にしたお話です。

背景には、日本の支配下で、一層の困窮
強い
られる島民たち過酷な暮らしがあります

作者の母が、曲がりなりにも幸せだったのは、両親の下で暮らした

嫁入り前までと、日本に渡って、生活の基盤を築き、店を切り盛り
しながら、娘を育てていた頃だけだった様に思われます。

「血と骨」では英姫、この物語では、春玉として描かれる作者の母は、

タフな働き者で、芯が強く、情が深くて優しくて、賢く多才な魅力溢れる
女性だったにも関わらず、非情な時代と男運の悪さから、死ぬまで
茨の道を歩いた人でした。
虐待と屈辱と貧困にまみれた労働と忍耐の人生です。

日本に逃げたことは、当時として最良の選択でも、出会った男が、

あまりにも悪かった。
金俊平に目を付けられさえしなければ、生活力のある彼女ゆえに、
独り身で充分、娘と幸せに暮らしていけた筈なのに・・・
それなら、梁氏は生まれなかったけど。

「雷鳴」と「血と骨」をミックスした感想になっちゃった!