梁石日第4弾 タクシードライバー日誌
これは、作者の10年に渡るタクシー
ドライバー生活の日記です。
作者は、ドライバー生活の10年で遭遇した
様々な出来事や事件、事故、同僚や乗客
とのやり取りを通して、タクシードライバー
の過酷な勤務と、それに全く見合わない
厳しい労働条件について、問題提起しています。
都心のドライバーほど、高度な技能を要しながら、常に死と
隣り合わせの危険が付きまとう職業はなく、座りっぱなしで、
神経を張り詰めた24時間体制の労働は、肉体的にも精神的
にも、想像を絶する激務の様です。
仕事により健康を損ね、生活に行き詰っても、何の補償も受けられずに
使い捨てられるやるせなさと、立派な技術職であるにも関わらず、
職業差別を受ける理不尽な思いが、随所に綴られていました。
35年前のお話なので、多少状況が変わっているとは思いますが・・・
これまた、表現力もさることながら、社会情勢を熟知し、物事を俯瞰して
分析する作者の頭の良さに感心させられる作品です。
巻末には、映画「地と骨」の崔洋一監督の解説が付いていて、
作者との出会いが興味深く書かれていました。