梁石日第5弾 修羅を生きる
これはエッセイで、父親が主人公の自伝小説
「血と骨」が、作者の目線で語られており、
数々の衝撃的なシーンが蘇ります。
「血と骨」では描き切れなかった作者の思い
や来歴を知ることができました。
様々な分野で才能を発揮した少年時代、
青年期に没頭した詩や文学、傾倒した主義、思想、
同人誌サークルや、出会ったユニークな仲間たちのこと。
そして・・・
事業の失敗、莫大な借金から逃れて、職を転々とする中で
就いた幾つもの怪しげな仕事と、何度も直面した命の危機などなど・・・
これで、「血と骨」から「タクシードライバー日誌」までの
空白が埋まりました。
タイトル通り、作者の人生は、まさに戦場。
激烈な環境に加え、作者の刹那的な生き方が、自身をより窮地に
追い込んでいきます。
あの無計画な、破滅に向かう性質は、環境によるものか、はたまた
父親譲りのものなのか・・・
ずば抜けて賢く、多種多様な才能を持つ作者が、もし、今の平和な世の
ごく平凡な家庭に育っていたら、どんな人生を送ったのだろう・・・
と、ふと思いました。