2020年7月2日木曜日

本のお話327 オブリヴィオン

遠田潤子第3弾 オブリヴィオン

作者は、読者を引き込む天才です。

今までに読んだ遠田3作中、最も驚かされた
どんでん返しの結末でした。
この展開は誰にも予想できないはず。

前作、アンチェルの蝶は「新世界より」、
これはタイトルにもなった「オブリヴィオン」
と、それぞれの楽曲が物語に欠かせない重要
なモチーフとなっています。

共通点の羅列ばかりもなんですが、作者の描く
物語のパターンが一層明らかになりました。

主人公の男性像☝
①根が優しくて、強い心を持っている。ぶっきらぼうで無口。
②戦場の様な家庭に育ち、過酷な暮らしを強いられ続ける。
③自身の境遇を恨み、グレて荒んで投げやりになるが、
運命的な出会いによって将来の夢を描き、やり直そうとする。
④けれども、次から次へと容赦なく新たな苦難が降りかかる。
⑤それでも諦めず、守るべき者のために生きなければ、と
必死に歯をくいしばる。

結末は・・・読者が望むものも、望まないものもある。
(広い意味では、どれも最後に希望の光が差すと言えなくもない)

そして、ミステリー形態☝
全ての謎が解き明かされるまで、読者を捕まえて放さない。

主人公の壮絶な人生を思えば、私の人生なんて、ぬるま湯も
いいとこだけど、彼らを見習って、私も私なりに一生懸命
生きて行こう!あるがままを受け入れて。強く、潔く!