遠田潤子第4弾 カラヴィンカ
これもまた主人公を取り巻く環境
が、前3作同様極めて特異です。
凄まじい家庭環境抜きには決して
成り立たない壮絶な物語で、
全ての元凶はそこにあると言え
ます。
村を見下ろす高台に佇む青鹿家は、
見事な裏山の藤を背負っているか
の様なお屋敷に因んで、村では昔
から「藤屋」の愛称で親しまれてきました。
そして、今や途絶えて廃屋となり果てたかつての
山持ち、静谷家は、林業を営んだ事から「斧屋」と
呼ばれてきたのですが・・・
藤屋と斧屋~2つの旧家。両家の確執と怨念はいかに!
横溝正史の世界を思わせます。
時代から取り残された感も。
全ての謎の裏には、両家3代に渡る愛憎劇が隠されて
いました。
絶世の美女である斧屋の孫娘を巡る藤屋の2兄弟を
描いたミステリーで、度重なるどんでん返しに何度
驚かされたことでしょう。
遠田作品の確固たるテーマはそのままに、前3作とは
趣向の違う作品でした。
これもいいかも。