5編から成る短編集でした。
いずれも語り手が若い女性ですが、
描くターゲットは同級生の母親、
自分に好意を寄せた男性、
マッチングアプリで出会った元彼、
長年の恋人、そして自分自身と、
色々です。
犯罪のお話が多く、殆どが意表を突く結末でした。
いずれも人の心の内を微細に表現しており、常に周りを観察し、
打算と邪推や想像を巡らせながら生活する人間って、こんなにも
複雑な生き物なのか、と感心したり、呆れたり、時に恐ろしくもあり・・・
そう言えば「傲慢と善良」もそうだった。
やっぱり人は、単純明快なのが一番だ!と思わせるのは、
湊かなえさんバリだね。
この作品が直木賞を受賞した際の選考委員だった林真理子さんと
作者の対談が巻末にあり、それも興味深く読ませていただきました。
憧れの先輩と前途有望な後輩、この大物作家二人は、どちらも
山梨県出身で直木賞を受賞したという共通点があります。