タイトルの「0」は零型戦闘機、すなわち
ゼロ戦の0。
この傑作がデビュー作とは、意外だね。
元々興味のあるジャンルではなかったけど、
こんなに感動したのは久しぶりで、読者の
心に深く哀しく訴えかけます。
主人公の健太郎が姉と共に、60年前に自分
と同じ26歳の若さで、沖縄特攻で戦死した
海軍航空兵だった祖父の足跡を辿る物語で、
形態が「嫌われ松子」と似てる気がします。
お祖父さんと同じ部隊で戦ったかつての同胞達の話から、
祖父「宮部久蔵」の人柄や、どの様な信念と(パイロットとしての)
技量を持って、真珠湾攻撃から最後の沖縄戦までの3年8か月を戦い、
散っていったのかが、徐々に明らかにされていきます。
そして最後には、驚くべき真実が、待ち構えていました。
それぞれの戦いの内情、艦艇や戦闘機、神風特攻隊のこと、
国力はもとより、兵士の命に対する考え方が、日米軍間で、
いかにかけ離れていたのか、更には、最も重大な責任が
あるにも関わらず、罪に問われることなく、のうのうと出世して
いったエリート作戦参謀たちのこと、等々・・・
背景の全てが、驚きの連続でした。
プロローグがエピローグのシーンと繋がった瞬間の衝撃は、あまりにも
強烈で、電車の中で読み終えてから降りるまでの間、揺られながら、
暫し余韻を噛みしめました。
これはお勧め、星五つ!!★★★★★