~南ヨーロッパ・ロンドン篇
一連の旅行記は、これで完結です。
インドからロンドンまでを乗合いバスで
縦断する事以外何も決めずに、成り行き
と気分に任せた1年余りの旅でした。
作者が次の目的地を目指す時は、いつも
きっかけがありましたが、旅を終わらせ
るにも、その決断をするための決定的な
何かが必要でした。
そんなこだわりも、作者らしい・・・
ポルトガルでのある人物とのひょんな出会いで知ったザグレス
と言う海辺の町~そこでの風景がデジャヴを呼び、今までの旅は、
この場所に来るためだったと確信して、長い旅を終えることが
できたのです。
これは、紀行文の範疇に収まらない素晴らしい作品でした。
50年近く経った今では、世界も随分変わってるね。
大笑いすることも度々有って、作者は結構ユーモラスで面白い。
更に、恐るべき記憶力に抜群の文才とセンス、語学力、幅広い
知識と教養、そして交渉力と行動力。
そりゃまあ、ジャーナリストだもんね。
巻末の色んな人との対談も興味深く、最終巻は井上陽水さんでした。
高倉健の巻もあったなあ。
それにしても、この時たかだか26~27才だったなんて。
どんだけ老成してるのか。
そんな作者も、今では73才だそうです。