しみじみとした情感溢れる素晴らしい
作品でした。これは名作だ!
この物語の舞台となる無窮堂は、
ひっそりと静まり返った細道沿いの
由緒ある古書店です。
店舗と繋がったお屋敷には、神秘的
な池と菜園を擁する広い庭があり、
その風流な佇いもまた、物語に彩りを
添えています。
未知の世界が垣間見れるのも作者作品の魅力ですが、
今回は、業界や目利きのこと、店主に求められる才能等、
古書店の奥深さを知ることが出来ました。
初めに投げかけられた謎を追って読み進める訳ですが、
無窮堂が繋いだ二人の青年を中心に展開するドラマに
驚いたり納得したり、感心したり、時に呆れ、感動したりも。
男子二人の友情と秘めた恋心に作者の特徴がよく現れています。
紙の本が減りゆく中で、無窮堂の様な古書店はこれから
どうなってしまうのだろう。ずっと残り続けて欲しいものです。