2015年5月16日土曜日

本のお話210 敵意

ダニエルスティール第6弾 敵意

社会的地位のある、街中から尊敬される人格者
父親が家族にだけ見せるもう一つの顔。
非情な父親に娘を差し出す弱過ぎる母親・・

美しいヒロイン、グレースの凄まじい半生を

描いた物語で、長い旅路と同様、児童虐待が
テーマとなっています。

作者の描くヒロインの苦難はいつも凄惨を
極め、時に生死の境を彷徨う
ほどですが、どのヒロインも強く、毅然と前を向いて生きていきます。
グレースは、DV被害に遭う人達の救済生き甲斐を見出しますが、
そんな彼女を、更なる過酷な運命が待ち受けています。

DVが被害者の心と体に生涯に渡って及ぼす深刻な影響と、
アメリカの
刑務所の恐るべき実態、そしてメディアの悪辣さが、グレースの受難
を通して浮き彫りにされます。

他作品の冒頭の言葉から、作者の、深い痛手を負い
ながらも立派に
生きる子供たちとの出会いや、自身著名であるが故に、メディア
苦しめられ続けてきた過去伺えます。

これまで載せたダニエルスティール6作品の中で、一番良かったかも。
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