2015年5月24日日曜日

本のお話211 輝ける日々

ダニエルスティール第7弾 輝ける日々

ダニエルスティールが、精神障害に苦しむ
長男と共に闘った19年間を振り返った
自伝で、畑正憲さんが翻訳されています。
原典を読んで感動したムツゴロウさんが、
作者に直接手紙でお願いして、翻訳権を
獲得したそうです。

アメリカでNo.1作家と称される作者の息子
らしく利発で文才があり、特に音楽の分野
では、類稀なる才能を発揮して、多くの
人を魅了したニックの激しい人生と、彼と
過ごした作者の喜びと苦悩が描かれています。

誰よりも優しく、ユーモア溢れる素晴らしい人間性を持ちながら、
病に苦しみ続けた末に、19歳の若さで自ら命を断った息子・・・

善良な人間の体内で、デーモン(病根)がどんどん大きくなって
暴れ狂い、人間そのものを食い潰してしまう、と文中で表現される
程に、躁うつ病(双極性障害)の苦しみの深さが伝わってきます。
薬物による治療が、いかに大切かということも。

この作品は医学的にも、幼児期の双極性障害の診断と早期から
薬物治療に大きく貢献した様です。
またニックは、アメリカで爆発的に増加していると言われるLDと
ADHDを併せ持つとされ、それについても言及しています。

もがきながらも必死で生きたニックと、嵐の渦中に居る様生活
強いられても、懸命に彼と関わり続けた家族の絆と、母親の
深い愛に感動しました。
他人ながら、家族以上にニックに寄り添ったジュリーにも。

自伝中のエピソードは、彼女の多くの作品に繋がっています。
にほんブログ村 本ブログ 小説へ
にほんブログ村