村山由佳第10弾 放蕩記
母への複雑な思いを中心に、自身の生い立ち
を描いた自伝小説で、妙な共感を呼びます。
終盤大きく成長してからの作者の奔放で、
常軌を逸した振る舞いには、唖然とすること
も・・・
近頃「毒親」と呼ばれる過干渉で威圧・依存的
な重い母親が、子供の心に及ぼす深刻な影響に
ついて、考えさせられる作品でした。
我が子への愛情が決して無い訳ではないのに、
接し方を間違えて、子供を苦しめ続ける母親。
相性や要領の良し悪しから、同じ母から受けるとばっちりが、
兄姉妹間で、大きく違うのも、興味深いところです。
夫への不満や悩みで頭がいっぱいになり、子供の心に寄り添う
余裕を無くし、感情的な気性と相まって、分別を欠いてしまう
この程度の毒親は、そこら中にごろごろ居そうな気がします。
一歩間違えれば、誰もがこんな母になる危険を孕んでいるのでは
ないでしょうか?
「心底嫌いになれれば、もっと楽なのに」と呟く作者の言葉が、
重くのしかかります。
色んな意味で、育児中のお母さんに、お勧めしたい一冊です。
私もその頃に、この本に出会いたかったなあ・・・なんて思ったり。