湊かなえ第7弾 高校入試
これはとっても面白く、「告白」に次ぐ完成度で、
雰囲気が、「しらゆき姫殺人事件」と似ています。
社会問題を提起しているところも。
地方の県下トップの公立、橘第一高校の入試を
巡るミステリーで、入試当日の波乱が物語の
大部分を占めます。
高校教師経験のある作者だけに、入試に対する自身の
思いや疑問を物語に反映させているのかもしれません。
生徒の人生の一大事にも関わらず、その認識に欠ける先生達、
採点を含む合否判定の落とし穴、モンスターペアレント、ネット掲示板の
怖さ、地域の人達の一高への異常なまでの羨望と執着、多感な生徒たちの
人間関係などなど、盛りだくさんです。
一番面白いのは、教師の人間臭さかも。
前半は人物相関図を確認しながら読み進めましたが、前作「少女」同様、
物語に馴染み、人物確認する必要がなくなるところまで来ると、
面白くて本が閉じられなくなります。
そのまま期待を裏切ることなく、圧巻のラストを迎えました。
最後の一文は、この物語を締めくくるに相応しい言葉で、作者の
言いたかったことが、凝縮して込められている様に思えます。
なかなか、深い作品でした。素晴らしい!!