宮尾登美子第8弾 成城のとんかつやさん
櫂から始まる一連の自伝小説で脚光を浴び、
生み出した作品は少ないながらも、その
殆どが映画化された事で知られる作者の
エッセイ集です。
昭和54年から平成8年の間に、雑誌や新聞に
掲載されたもので、どれも面白く、作者への
興味も手伝って、あっという間に読んでしまいました。
故郷の食材や郷土料理に始まり、お気に入りの店や土産物、
おやつへのこだわりなど、グルメな作者の食べ物紹介は、
どれも垂涎ものですが、その一つ一つに忘れ難い思い出が
込められています。
小説家になったことから無限に広がっていった交友関係。
その中には誰もがよく知る人物も多数登場します。
各人とのエピソードは温かくもあり、ちょっぴり悲しくもあって。
自伝小説のモデルとなった女性たちとの再会の章からは、
実家の家業への負い目だけでなく、作者の責任感の強さと
義理堅さ、そして、情の深さが伺えます。
何はともあれ、これを読んで、したいことが2つできました!!
一つは☝
彼女が幼い頃から憧れ続けた女性を、満を持して描きあげた
歴史小説「クレオパトラ」を読むこと!
もう一つは☝
彼女の心の中に死ぬまで居座り続けた故郷の風景・・・
豊かで清らかな水を湛えて流れる仁淀川を見ること。
その二つです。