シルクロード篇
これら一連の旅の目的はバスでデリー
からロンドンに行く事。それ以外は
何も決めず、どこに寄って何日過ごす
のかも、全て成り行き任せです。
この巻の行程の殆どが格安のオンボロ
バスでの移動で、日本では到底起こり
得ない出来事の連続に驚愕するばかり。
それはそれは過酷な旅です。
前巻の鉄道による移動エピソードも凄かったなあ・・・
何かにつけ日本は、完璧に整備され、進んでいる国だと
教えられます。
とうとう作者は、前巻で病気になってしまい、
その後を気にしつつこの巻を読み始めた訳ですが、
衛生環境の悪い国々で、どこのどんな物をも彼は
平気で食べたり飲んだりすることを考えると、
それまで元気だったのがむしろ不思議なくらいです。
ハシシを勧められるがままに回し吸いしたりも。
パキスタンでは習慣の違いからトラブルが発生し、更に言葉が
全く通じないことで、作者はこの旅最大の危機に見舞われますが、
一歩間違えれば、命の保証はありませんでした。こわ~~
現地の人々や様々な国から来た旅人たちとの束の間の交流の中で
浮かび上がる作者の苦悩や感傷が、異国の景色と相まって、
何とも言えないもの哀しさを漂わせます。
中でもイスファハーンのモスクや、夕日に沈みゆくシルクロード
の平原と山々、その間を蛇行しながら光を放って流れる川と砂漠
の風景は格別でした。