またまた村山由佳、「野生の風」
村山由佳作品は、最初に載せたのが翼で、次は天使の卵、次は
もう、おいコーシリーズだったかな?
その次が星々の舟なので、これは村山由佳第5弾ということになるね。
主人公の染色織物作家の女性が、ベルリンの壁崩壊の歴史的なシーンに
立ち会い、その熱狂の中で出会ったカメラマンとアフリカで再会して、
恋に落ちる物語です。
そんな滅多に無い偶然が、ドラマや物語では度々起こるもんですね。
主人公が染色を生業とする設定なので、染色についての記述が多いお話です。
色んな植物や果実や木からどんな色が出せて、どんな風に糸や布が染まって
行くのかなど、作者の染色の知識の豊富さに驚かされます。
染色について何も知らない私でも面白く読めるので、染色する人はもちろん、
芸術的な趣味を持ってる人には、より魅力的な作品だろうと思います。
そこが梨木香歩の「からくりからくさ」に似ている・・・
からくりからくさは、今度アップしよう!!
染色の他にも、サバンナに生息する動物たちを含めたアフリカの大自然の
風景描写が素晴らしく、読む人の心を捕えます。
翼でのグランドキャニオンもダイナミックで素敵だったなあ・・・
おいコーでは、オーストラリアのウルルの表現も。
アフリカに興味がなかった私でも、これを読んで、作者が見た素晴らしい
景色を見に、いつかアフリカに行きたいと思ったね!(●^o^●)
意外な結末に潜む一馬が知らされていない裏の実情に、多少のもやもや
感が残ったものの、飛鳥と一馬の潔い決断に、ちょっと感動した作品でもあります。