2017年6月2日金曜日

本のお話265 タクシードライバー一匹狼の歌

梁石日第10弾 タクシードライバー一匹狼の歌

梁作品は、まだまだある様ですが、
ここらで、一旦卒業しようと思います。
あっ!でも後1冊、過去に映画化された
「タクシードライバー狂騒曲」だけは、
読みたいなあ。そのうち、また!

これも、タクシードライバー日誌の様に、
作者の10年に渡る波乱のドライバー生活
を綴った作品と思いきや、それは序章の
ダイジェストだけで、大半がルポルタージュ
でした。
読んで、ちょっと物知りになった気分。

他にも、同僚から聞いた乗務体験談を集めた章もあり、
ぞっとするエピソードの数々には、背筋が凍る思いがしました。

ドライバー経験と文筆家の仕事が見事に融合した作品で、
ドライバーの厳しい現状に寄り添いながら、様々な観点から、
タクシー業界における問題を提起しています。

ドライバーはもちろん、タクシー業界も大変だなあ・・・と、しみじみ。
前に載せたタクシードライバー日誌とほぼ同じ感想ですが、
作者のこれまでの作品とは一味違うジャンルで、新鮮でした。
そう言えば、タクシードライバー日誌も、ルポ的要素のある作品だった
気がする・・・

こんなに博識で社会情勢に通じ、物事を俯瞰し分析できる作者が、なぜ?
幾つもの自伝小説に描かれている様に、ハチャメチャで破滅に向かう刹那的
な生き方しかできなかったのか、不思議だなあ・・・