2025年4月14日月曜日

本のお話384 手紙

東野圭吾 手紙

服役中の強盗殺人犯の兄と弟の間で
交わされる手紙のやりとりが、物語に
おいて重要な役割を果たします。

殺人犯を兄に持つ弟の苦悩は筆舌に
尽くし難く、隠しても隠しても素性が
ばれて、やっと見つけた大切なものが
悉く奪われ続けます。

殺人犯の弟のレッテルは、軛の様にどこまでも
重くのしかかり、そして・・・

弟思いのこんなに優しい人が、いくら深刻な事情を抱えていても、
どんなに気が動転したとしても、ここまで惨い事が、本当に
できるだろうか?ましてや、親切にしてくれた人に?
いやいや、絶対にできるわけがない! 

本題から逸れますが、その疑問に最後まで捕らわれ続け、
釈然としない思いが残りました。

それでも、じ~~んと胸に沁み入るものがあったのもまた事実。
読み終えた後、暫く余韻に浸ったくらい、深く、重く、
考えさせられる作品でした。