松本清張第10弾 歪んだ複写
作者の作品は、50数年前のお話が多く、
あらゆる場面に、昭和のノスタルジーが
漂っています。
これは、当時蔓延していた税務署員の汚職を
テーマにした物語で、腐敗した税務署の実態
が、赤裸々に描かれています。
作者は、税務署絡みの複数の殺人事件を追う
主人公の新聞記者を通して、税務署の暴利を
糾弾しているかの様で、この作品からもまた、
国家機関の不正に対する作者の強い憤りが、伝わってきます。
悪事は更なる悪事を招き、犯人はそれらを取り繕うために、
犯行を重ねるのは、多くのミステリーに共通するところですが、
作者の社会派小説は、そういった犯罪の陰に存在する大組織の
悪習慣に鋭く斬り込むのが、特徴です。
そこに読者は、スケールと読み応えを感じるのではないでしょうか。
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