2014年6月3日火曜日

本のお話119 橋のない川(前)

住井すえ 橋のない川(全6巻、前)

奈良県の被差別部落で生まれた少年が、世間の荒波に揉まれ、
悩みながら成長する姿を描いた明治から大正にかけての物語です。


このお話からは、田畑や山、川、茅葺屋根家々、
土埃の道など、農村の長閑な風景が目浮かび、
木造校舎から子供達歌声喧噪が聞こえて
くるかのようです。

父を早くに亡くし、母と祖母の女手により、
貧しい
ながらも愛情を持って育てられた孝二と誠太郎
が、他者を思いやりながら逆境と闘い、困難を
乗り越えていく様「泥流地帯」拓一、耕作の
兄弟連想させます。

兄弟の生い立ちから始まり、理不尽な差別への彼らの抵抗と団結、
そして解放運動へと動いて行くストーリーが、史実と連動して展開されます。