山本有三 路傍の石
「何ぼほど古い本ばかり載せるんや!」って
声が聞こえてきそう・・・・
この作品は、諸事情により未完のままとなった
らしく、とても中途半端な終わり方をして
いますが、純文学特有の重厚感があります。
一番印象に残っているのは、何と言っても、
吾一が子供の頃に起こした鉄橋事件です。
勉強が好きで極めて優秀なのに、家庭の事情
から進学を断念せざるを得ず、それでも懸命
に働く中で、苦労を重ねながら立派に成長して
いく吾一の姿は、「泥流地帯」や「橋のない川」
の主人公に通じるものがあります。
次から次へと立ちはだかる困難や、辛い経験の全てを糧にする
吾一の強さと、人を許す心の広さには、感心するばかり。
昔の物語の主人公は、往々にして立派です。
時代が違い、個性も器も人それぞれで、目指す必要はないけれど、
彼らの真摯な姿勢は、読む人の心に何か残してくれそうで、
うちの子供たちにも読ませたい。
でも、読まないだろうなあ・・・・
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