森村誠一 人間の証明
これも古い本で、お父さんが角川ブーム
の頃に買ったものです。
私がこれを見つけて読んだのは、何年前
だったっけな?
作者は大学生の頃、優しい響きの地名に
引かれて、「霧積」を訪れました。
山歩きの途中で、宿が持たせてくれたお弁当を
食べようと開いた包み紙に刷られていたのが、
西条八十の「麦わら帽子」だったそうです。
目に飛び込んできたその詩に、大きな衝撃を
受けた、とあとがきにあります。
この詩との出会いがなければ、生まれるはず
のなかった作品です。
一言で言えば、人間不信と因果応報の物語。
あり得ない偶然で結ばれている登場人物の設定に、
多少の不自然さは感じるものの、人間の弱さとエゴと
一抹の良心を描いたこの作品の醸し出す悲哀が、何とも言えず・・・
松本清張の「砂の器」を思い出しました。
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