伊藤佐千夫 野菊の墓
小5の夏休みにレミゼラブルと一緒に叔父さんが買ってくれました。
すごい年月が経っててボロボロだけど、私の宝物です。
10編の物語から成る短編集で、野菊の墓も60ページ
足らずの案外短いお話でした。
昔、野に咲く野菊やりんどうを見て、この悲恋を思い出したものです。
作者は幕末生まれの俳人であり作家でもある人で
代表作野菊の墓は、作者の少年の日の悲しい思い
出を描いた半自伝風作品と巻末解説にあります。
野菊の墓のラストは、政夫の以下の言葉で締め
くくられていました。
「民子は余儀なき結婚をして世を去り、僕は
余儀なき結婚をして長らえている、幽明はるけく
隔つとも、僕の心は一日も民子の上を去らぬ」
・・・・・哀しい言葉です。
民子と政夫だけでなく、他の女性をそこまで思い
続ける人を夫に持った政夫の奥さんも、気の毒な限りです。