2015年2月16日月曜日

本のお話190 葡萄が目にしみる

林真理子第2弾 葡萄が目にしみる

作者のくだけたエッセイ集と比べると、
何とも文学の香り高い作品です。


主人公乃里子の30歳過ぎまでのお話で、
高校の3年間が中心に描かれています。
コンプレックスを抱えた内向的なその少女は、
作者自身がモデルの様です。

好きな人とは別に、中学生の頃からずっと
気になってた存在感抜群男子が、後々まで
乃里子の中で大きな位置を占めます。

どこにでも居る目立たない少女の高校生活が、
思春期悩みと共に綴られていて、身近で
現実味のある淡々とした面白さを感じました。

山梨の葡萄農家の暮らしや、葡萄畑の広がる長閑な風景が、
切なく胸に迫ります。