久しぶりの村山作品は、これまでとは
違った雰囲気のお話で、極道が密接に
関わっていました。
子供時代は大きな救いだった大物ヤクザ
との出会いが、後に主人公を縛り、
苦しめ、翻弄し続けます。
その様な人物と出会わざるを得なかった全ての
原因は、彼の家庭環境にありました。
取り返しのつかない過ちは許されるものではないけれど、
想像を絶する過酷な環境で育ちながらも、強く、優しく、
命がけで大切な人を守る大人になれたのは、奇跡としか思えず。
親ガチャ外れという言葉がぴったりの暮らしの中で
真摯に生きる主人公は、遠田潤子作品を思い出させます。
スピリチュアルな要素を含んでいるところも。
秀俊が中学で出来た人生初の友達3人と過ごしたキラキラの青春は、
ある事件を切っ掛けに崩壊し、全員の運命を大きく変えていきます。
それぞれが隠し通そうと心に誓った秘密とは、嘘とは何なのか。
要所要所で登場する、とある海辺の風景は、そこはかとない哀愁を
漂わせ、物語を一層ドラマチックに仕上げています。
最高のラストシーンでした!
