2025年8月22日金曜日

本のお話389 ロードムービー

辻村深月第16弾 ロードムービー

表題の他「道の先」「東京語り」
「雪の降る道」の4編から成る
短編集で、どれも感慨深い!

ロードムービーにも道の先にも
作者お得意のどんでん返しがあり、
えっ!そうだったの?と今回も
また驚かされました。

道の先と東京語りは繋がっていて、
雪の降る道は、これらとは別の物語と
リンクしています。

辻村作品は、メンバーや舞台を変えながら繋がっているものが
多く、全てを繋ぎ合わせると壮大な物語になりそう。

悩み苦しむ少年少女達の胸の内を細かく描き出すのが作者の
特徴で、その場所に居るかの様な臨場感が味わえるのは、
生々しくリアルな表現の成せる技だね。

些細なきっかけで急にいじめられたり、人気者でさえ、突然
クラス全員から無視されたり、嫌がらせを受けるなど、
彼女の描く世界は、いつも残酷で恐ろしい。

クラスの風向きを変えるほどの影響力を持つ加害生徒のことを
被害者ながら「ある種、すごい能力だ」と達観し、感心する
主人公ですが、やられるだけでは終わらない。
その逞しさが痛快でした。

どの作品も、過酷な状況の中で助けてくれたり、支えとなる
仲間が必ず居るのも救いです。

そして、雪の降る道のみーちゃんが、僕のメジャースプーンの
ふみちゃんと重なるのは私だけでしょうか。
そこまで健気で優しい天使の様な小学生は居るのかな!?