「長い旅路」は、ヒロインが安住の場所
に辿り着くまでの長く苦しかった道のり
を例えたタイトルです。
心身共に自分を痛めつけ続けた母親と、見て
見ぬ振りを通した挙句、自分を捨てて出て
行ってしまった父親・・・
カブリエルは9才の時に入れられた修道院で、初めて平穏で
幸せな生活を知るのですが、その後も波乱が続きます。
ガブリエルは、生まれた直後から人格形成期を暴力と暴言の中で
過ごしたにも関わらず、人の痛みの分かる優しさと、くじけない強さ
を持つ、知的で才能溢れる女性に成長します。
修道院での規律ある温かな暮らしや、良き師、友との出会いが大きかった
にせよ、彼女の生まれ持ったものが素晴らし過ぎたとしか言いようがなく、
実際にそんなことは可能だろうか?と、ふと思いました。
作者は作品中で、虐待に気付きながら何もしようとしない傍観者の
責任についても、大きく問いかけています。
この物語のカトリック修道院は開放的で、祈りを捧げる娘たちが、
修道院から職場や学校に出かけては日中仕事をしたり、大学生活を
満喫する自由が与えられています。
「時間の砂」の静謐で厳格この上ないシステシアン派の修道院とは、
随分様子が違ってました。
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