2015年4月7日火曜日

本のお話203 海峡の光

辻仁成 海峡の光

とうに手放したとばかり思っていたこの本、
本箱の奥に埋もれているのを発見しました。

芥川賞受賞作らしい文学的な作品で、表現
芸術性があります。
この人も村上春樹さんの様に、何かにつけ
て例えるのが好きな様で、その例え方に、
才能を感じます。

刑務所で看守として働く主人公の元に、囚人として
送られてきたのは、小学5年生だった主人公を、優等生の
仮面の下で、執拗にいじめ続けたかつてのクラスメイトでした。

タイトルにある「海峡」は、陸と陸を隔てる狭い海の他に、
比喩的な幾つもの意味合いを含んでいます。

灰色一色の陰鬱なイメージの、暗くて重い物語でした。
元クラスメイトだった囚人の心の闇だけでなく、主人公の抱える
闇にも迫ります。
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