表紙を失くしてしまった~
見つかったら、写真を差し替えなくては。
またしても裏切られる熊吾ですが、
ここまでくると、彼の因縁とさえ
思えます。
作者は「父は何度も裏切られてきた
けれど、一度も人を恨まなかった」とエッセイに
書いていますが、それも、あり得な~い!!
この巻では、苦労の連続だった房江の絶望と
どん底からの再生が清々しく描かれています。
幾つもの偶然が重なったことで命拾いした房江は、
これを神の思し召しと受け止めると、憑き物が落ちたかの様に
心が晴れやかになり、自立に向けた一歩を踏み出します。
働き者で聡明で優しく、人一倍家族思いの房江が、
何故ここまで過酷な人生を送らなければならなかったのか。
だからこそ、彼女の心境の変化と前に進もうとする姿に
元気がもらえました。
一連の物語で、伸人、房江、熊吾のそれぞれが九死に一生を
得る体験をしますが、生死を分けたのはどれも、ちょっとした
偶然で、紙一重の差でした。
きっと世の中こんなことだらけだろうと思うと、急に死が身近に
感じられ、死生観が変わる気がします。
そして、
ここでの伸人の生活は作者のエッセイや他作品とリンクする部分が
多く、そういった意味で、別の楽しみ方もできました。